現代歌人協会は、1956年に結成された歌人の職能団体です。2020年に法人化し、「一般社団法人 現代歌人協会」となりました。

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上の物取らむと脚立に登るとき
天涯孤独の感じはするも

佐藤通雅 『岸辺』

 短い梯子を八の字に合わせ、その上に板を取り付けたのが脚立だが、いざ登るとなると誰かに押さえていてもらわないと不安である。電球を換えたり、戸棚の中のものを取ったりする時は、ひとりのことが多い。えいやあと脚立の上部に登り跨がるのだが、不安定でその心細さは、齢を重ねるほどに大きくなるだろう。「天涯孤独」とは身よりもない一人暮らしのことだが、逆に自分がそんな境遇になった時を想像するなら、たった一人で脚立の上に置かれた状況は、まさにぴったりである。結句は「感じがするよな」くらいの意か。
しみじみと納得をしているのである。脚立に登るたびに作者はこんな思いに浸っているのだろう。降りればすぐ忘れてしまうが。

小塩卓哉

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